フルール・マリエ


一旦クリスマスを意識し出すと、幸せそうなカップルに視線が向くし、赤や緑の煌びやかな装飾を眩しく感じる。

チラチラと柔らかく降り注ぐ雪が人恋しさを増長させているのかもしれない。

ホームで電車を待ちながら、携帯を見たのはいつもの動作だけれども、新しいメッセージが届いていないことに落胆していることに気づく。

こんなに気になるならいっそのこと連絡して断られた方がスッキリするんじゃないだろうか。

メッセージなら、そこまで仕事を邪魔しないかもしれない。

何だかんだいろいろ言い訳をしてから、携帯をタップし始める。


お疲れ様。外は雪が降ってるから気をつけてね。


そんなメッセージを送信して、ホームに入って来た電車に乗り込んだ。



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