フルール・マリエ
カーテンで仕切るタイプの半個室になっている駅前の居酒屋は、女性が嬉しい料理も豊富で、お客さんの7割くらいは女性だけのグループが埋めている店だ。
予約はしてくれたものの、平日の前半だからか、席の埋まり具合は疎らで通された席の前後は空室のようだった。
生ビールと簡単な料理を2人で頼み、乾杯までは当たり障りのない話をしたものの、グラスを交わした後は牧さんのエンジンがかかった。
「全部、香織ちゃんの好きな方でいいよーって言うんですっ。それってどう思います?責任放棄じゃないですか?」
確かにドレス選びを見ていると、どのドレスを着ても新郎は似合う!それがいい!と褒めまくる。
どれがいいか、と牧さんが訊いても全部いいと言う。
見ているだけなら微笑ましさがあったのだけれど、意見が欲しい身としては確かに辛い。
「別に、私が決めるのはいいんですよ。好きにしても全部許してくれそうですし」
「優しいもんね」
「そうなんですよ、優しさのつもりなんですよ。でも、自分の意見もないの?って思うし、私ばっかり調べたりして忙しくしてるみたいで腹が立つんです。私の方が仕事上、経験豊富だから、私が決めた方がいいとも言うし」
「ドレス選びは経験豊富でも結婚式は初めてなのにね」
「そうですよ。私だって不安ですっ」
ジョッキを煽って一気に半分くらいまで喉に流し込むと、深く息を吐いた。