フルール・マリエ


私が待って、と言った通り千紘は静かに私の答えを待っているようで、あれから2日経ったが、店で顔を合わせる以外に、連絡は取っていない。

着々と日々の仕事をお互いにこなしている。

新しく入った橘さんは牧さんの教えを真剣な目つきで必死にメモを取っていたり、まだぎこちないもののお客様が試着したドレスの裾を綺麗に伸ばしたり、少しずつやれることが増えてきているようだった。

冴羽さんがいなくなってしまうのは不安もあるのは確かだ。

私もここで働いて長いのだから、もっとしっかりしなくてはならないと思っていた。

冴羽さんがいなくなり、私までいなくなったら迷惑をかけてしまうんじゃないだろうか。

煌びやかなドレスを着た新婦につきっきりで対応を行う、黒い服に身を包んだ仲間達を見回し、千紘の言葉を思い出すと、激しい葛藤が私の中で生まれる。



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