フルール・マリエ
事務所に戻ると、冴羽さんが事務作業をしているところだった。
「いつもの覇気、どうしちゃったの?」
「は、覇気ですか?」
「うん。お客様の為に突っ走る朝見覇気」
「そんなのあります?」
「あるよー。その覇気に当てられて、今日も頑張ろう、って思うんだよね」
嬉しいようなくすぐったいような恥ずかしいような、複雑な感情が混じり合って、はぁ、と曖昧な返事しか返せなかった。
「仕事にまで影響する悩み?」
「あ、いえ、ちょっと疲れたのかもしれません」
「そう。あまり、抱え込まないで正直になったら楽になるかもしれないのに」
「え・・・」
冴羽さんは机の引き出しを開け、ころんと小さいピンク色の飴を私の机に置いた。
「疲れには甘い物」
なんだか見透かされているように感じたが、それ以上は何も言わず、お礼を言って飴を頂くことにした。