それがあの日の夢だった
学校が終わっても私の苦しみは終わらなかった。
なんせ引っ越してきたばかりだ。
家への帰り道が全く分からない。
困って校門辺りをうろうろしていると、声をかけられた。
「あれ?どうしたの?」
きづかない振りをしようかと思った。
しかし同じクラスだ。ここで感じ悪くしたらこれから先が思いやられる。
「…あはは」
私は笑ったつもりだったのだが情けない声が出る。最悪だ。
「どうしたの?何かあった?」
彼女は心配そうに私の顔を覗き込む。
そんなに見ないでほしい。
「困ったことがあったら何でも言ってね?」
彼女は親切のつもりで言っているのだろうが、今の私にはそれが一番困るのだ。
言えるわけがない。
学校から家までの道が分かりませんだなんて。
それに言ったところで彼女に何か出来るわけでもないし。
…いや、ひとつだけあるぞ。
彼女に助けてもらえるかつ私が家に帰る方法が。
「ねぇ、とても大きな公園の隣にある古いお家ってどこの事だと思う?」
自分でもバカみたいだと思った。
でも私にはこれが限界だった。
他人から言われてその他人の家にお邪魔しに行くみたいに言うのが。
家の回りの特徴だけ、教えてもらったみたいに。
「あぁ、それなら任せて!」
彼女は私の手を引いて走り出した。
「え、ちょっと」
私は突然手を引かれたから危うくつまずきそうになる。
転けてしまわないように必死に彼女についていった。
彼女が向かった先には見覚えのある公園があった。
「あ!もうここで大丈夫!」
私は歩みを止める。
私が止まると彼女も止まってくれた。
「もう大丈夫?ここでいい?」
「うん、大丈夫。ここからは分かるから」
私は彼女の手をほどき、お礼の一礼をした。
「いいよいいよ、それくらい。ここら辺で公園なんていったらここしかなかったら分かっただけだから!」
彼女はとんでもなさそうに私の頭の前で手を降る。
私が頭をあげると彼女はノートを貸してくれた時の笑顔を見せた。
今さらだか、きっと優しい人なんだろう。
「じゃあ、私はこれで」
彼女に背を向けゆっくり歩き出す。
また面倒事に巻き込まれる前に逃げたかった。
「ねえ!来羽ちゃんでよかったよね?」
帰ろうとした私に彼女が叫ぶ。
私は振り向く。彼女が笑っている。
こんなに無愛想で笑顔のない私に。
まだお互いの事を何も知らないのに…。
私は頷く。彼女がより一層笑う。
「来羽ちゃん!私は新島 麻弥(にいじま まや)!これからよろしくね!」
彼女は…ううん、違う。
麻弥ちゃんは礼儀正しく頭を下げた。
私もゆっくり頭を下げる。
「よろしく、麻弥ちゃん」
なんせ引っ越してきたばかりだ。
家への帰り道が全く分からない。
困って校門辺りをうろうろしていると、声をかけられた。
「あれ?どうしたの?」
きづかない振りをしようかと思った。
しかし同じクラスだ。ここで感じ悪くしたらこれから先が思いやられる。
「…あはは」
私は笑ったつもりだったのだが情けない声が出る。最悪だ。
「どうしたの?何かあった?」
彼女は心配そうに私の顔を覗き込む。
そんなに見ないでほしい。
「困ったことがあったら何でも言ってね?」
彼女は親切のつもりで言っているのだろうが、今の私にはそれが一番困るのだ。
言えるわけがない。
学校から家までの道が分かりませんだなんて。
それに言ったところで彼女に何か出来るわけでもないし。
…いや、ひとつだけあるぞ。
彼女に助けてもらえるかつ私が家に帰る方法が。
「ねぇ、とても大きな公園の隣にある古いお家ってどこの事だと思う?」
自分でもバカみたいだと思った。
でも私にはこれが限界だった。
他人から言われてその他人の家にお邪魔しに行くみたいに言うのが。
家の回りの特徴だけ、教えてもらったみたいに。
「あぁ、それなら任せて!」
彼女は私の手を引いて走り出した。
「え、ちょっと」
私は突然手を引かれたから危うくつまずきそうになる。
転けてしまわないように必死に彼女についていった。
彼女が向かった先には見覚えのある公園があった。
「あ!もうここで大丈夫!」
私は歩みを止める。
私が止まると彼女も止まってくれた。
「もう大丈夫?ここでいい?」
「うん、大丈夫。ここからは分かるから」
私は彼女の手をほどき、お礼の一礼をした。
「いいよいいよ、それくらい。ここら辺で公園なんていったらここしかなかったら分かっただけだから!」
彼女はとんでもなさそうに私の頭の前で手を降る。
私が頭をあげると彼女はノートを貸してくれた時の笑顔を見せた。
今さらだか、きっと優しい人なんだろう。
「じゃあ、私はこれで」
彼女に背を向けゆっくり歩き出す。
また面倒事に巻き込まれる前に逃げたかった。
「ねえ!来羽ちゃんでよかったよね?」
帰ろうとした私に彼女が叫ぶ。
私は振り向く。彼女が笑っている。
こんなに無愛想で笑顔のない私に。
まだお互いの事を何も知らないのに…。
私は頷く。彼女がより一層笑う。
「来羽ちゃん!私は新島 麻弥(にいじま まや)!これからよろしくね!」
彼女は…ううん、違う。
麻弥ちゃんは礼儀正しく頭を下げた。
私もゆっくり頭を下げる。
「よろしく、麻弥ちゃん」