それがあの日の夢だった
ろくに対策も考えられないまま、私たちは遂にその日を迎えてしまった。

まあ、対策なんて考えても無駄だっただろうけど。




神妙な顔つきをした初老の男が集まった町人達に一人一人握手をしていく。

町人達は笑顔でその男の手を握り返していた。

「あの方がこの町の町長さんよ」

隣にいたお母さんがそう説明した。

私は町長をみやる。パッと見た感じの雰囲気は優しそうなおじさんという感じだ。

町長は私の視線に気づいたのか、こちらを見て少し微笑み向かってきた。


「これはこれは、初めて見る顔だが?」

町長は私の顔を覗き込む。その目線に私は麻弥ちゃんを思い出す。

そう言えば、彼女はどうなった?

町長が私の手を握る。
その手は驚くほど冷たく固かった。

「どうも、これからよろしくお願い致します。今日は儀式に足を運んでください誠にありがとうございます」

町長はそういって私に一礼する。

あまり気が向かなかったが私も頭を下げた。
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