それがあの日の夢だった
松明の炎に照らされた町の人々の顔がいつもより暗く見えたのはなぜだろう。



人だかりの奥に見えたのは真っ白な服に身を包んだ髪の毛の長い少女だった。



麻弥ちゃん…!



松明を持った男ふたりに挟まれた麻弥ちゃんが茶色い木造の建物に吸い込まれていく。


男たちはその建物の前で止まると麻弥ちゃんだけその場において立ち去る。




男たちはそのまま建物の前で踊り始めた。




その愚かで滑稽な踊りの背後の建物に麻弥ちゃんが…。


そう思った瞬間、私は走り出していた。



人をかき分け、押し倒し、何度もつまずきながら。



「こら!待て!!!」



しわがれた男の声が真後ろから飛んでくる。


きっと町長だ。


その罵声を押しきり、私は建物のなかに飛び込んだ。


群衆のざわめき声が、最後に私の耳を掠めた…。
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