君と描く花言葉。
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「エリカー。今日の課題、終わるの早かったね」
「高(タカ)ちゃん。うん、早くニゲラが描きたくて」
部活が終わった帰り道、美術部で仲良くなった高ちゃんこと高子ちゃんが話しかけてくれる。
仲良くなった、と言っても、人並みに話すくらいだけど。
二年生になってクラスまで同じになったものだから、結構行動を共にすることが多い。
「ニゲラって、前言ってたあの?」
「そう。中学の頃のあれ」
「アンタ、そんな何年も前の絵をよく思い出せるねぇ。
中1が描いたやつなんでしょ?
エリカ絵上手いし、もうとっくにそれ以上の描けるんじゃないの?」
「無理。絶対無理!
あれ、多分大人でも描けないから!」
「はいはい、出たよニゲラ狂信者エリカ。
アンタがそこまで言う絵、あたしも見てみたいわー」
「ほんとにすごかったの!」
「成宮の絵より?」
「全然上手い!」
「マジか。それはやばいわ」
高ちゃんは茶化すように言うけれど、私的には結構本気だ。
あのニゲラを越す絵は、存在しないんじゃないかと思うくらいに。
いや、あの絵の作者の新作とかなら、越えるかも。
どこの誰かもわからないその人は、今はどんな絵を描いているんだろう?
多分、美術科のある本格的な専門学校とかに通ってるんじゃないかなあ。
だって、あんなに才能に溢れててそれを使わないなんて、勿体ないもの。