君と描く花言葉。
「あ、ごめんエリカ。
あたし、彼氏に呼ばれたから先行くわ!」
「うん、わかったー。また明日ね」
「また明日ーっ!」
携帯を片手に駆け出した高ちゃんは、すごく楽しそうだ。
活発で明るい彼女には、サッカー部の彼氏がいて。
よく、2人の惚気話を聞かされたりする。
彼氏のほうとは全く関わりがないし話したこともないんだけど、高ちゃんからよく聞くせいで一方的に知り尽くしちゃってる気がするよ。
私は恋愛ごととか全然無縁だから、そういうのを聞くのは楽しくて大好きなんだけど。
たまに、ちょっとだけ羨ましいな、なんて思ったり。
……まあ、告白されたこともないし。
彼氏ってどんな感じなのか、想像もつかないんだけどね。
「あーあ。帰ろ帰ろ」
高ちゃんが見えなくなってから、わざと大声でそう呟いてみる。
帰って、温かいお風呂に入って、ちょっとゆっくりして。
そうだ、撮り溜めてたドラマ見ようかな。
あんまりテレビを見ない私が、高ちゃんに勧められて録画してみた恋愛もののやつ。
それで、美味しいご飯を食べて、少しだけ宿題をやって。
そうしよう。
私の日常は、今日も変わらない。