君と描く花言葉。




「俺……こんなに絵に感動したの、生まれて初めてだ」


「ふふ。セイジにそんなこと言われると、なんかくすぐったいよ」


「でも、本当。
美術館とかで人の世界を見れる事があっても、それを描いた人を実際に見たことがないからイマイチ感動できなくて。
身近に自分の世界を描く人もいなかったから……。
だから、今、すごく嬉しい」


「……私も。
こんなに楽しい絵を描いたのは初めて!」



セイジは普段からたくさんしゃべる方ではないけれど、たまにこうやって自分の想いを一心に打ち明けてくれることがある。


その度セイジの価値観が知れる。


心が繋がっていく気がする。



それが、すごく嬉しくて。心地よくて。



セイジの心に触れるのを許してもらえたような、そんな感覚に陥る。



だから私も。


セイジの前では遠慮なんてしなくて、素直な私でいられるんだ。




「ねぇセイジ」


「うん?」



絵から目線は逸らさずに、口を開く。


セイジも動く様子はなくて、私たちを照らす光はとても暖かかった。



「アマリリスは描き終わっちゃったけど、私、これからも今まで通りここに来ていいかなぁ」


「え?……あぁ、そうか。
もともと、これを描くために来てたんだっけ」


「えぇ?」


「なんか。エリカが来るのが、当たり前になってた」


「あはは。私も、ここに来るのが習慣になっちゃった」



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