君と描く花言葉。
「いらっしゃいませ〜」
セイジの地図通りに道を辿って着いたお花屋さんは、いろんな花に囲まれてこじんまりと佇む雰囲気の良いお店だった。
看板に『フラワーフロア』と書かれているのを確認してからお店に入った瞬間、優しそうな女性の店員さんがにっこり微笑みかけてくれる。
胸にはネームプレートが付いていて、月森、と可愛らしい字で書かれていた。
「あらまあ、かわいいお客さん。お花、好きなの?」
「はい……色とりどりで、綺麗で。好きです」
「そうよね。いろんな種類があって良いわよね〜!
お家に飾るだけで華やかになるし、見てるだけで癒されるもの。
いくらでも見ていってね」
「ありがとうございます!」
のほほんとした月森さんの声音に、なんだかほっこりする。
なんか、店っていうか。家みたい。
ほんわか暖かくて、落ち着く場所だ。
「ねえねえ、お名前はなんていうの?」
「エリカです。綾瀬エリカ」
「エリカちゃん?良い名前ねえ。
エリカちゃんは何か好きなお花ある?」
「え?えぇと……」
「こらこら。あまりそう何度も質問するものじゃないよ。
すまないね、エリカさん」
月森さんと話していると、店の奥から落ち着いた雰囲気の男性がゆったりと歩いてきた。
月森さんより少し年上くらいかな。
やっぱり月森さんと同じく優しそうな笑い方をする人で、良い店だなぁ、なんて思う。