雪の光
パタン、とドアが閉じると窓の外を見た。
もう日が暮れてしまいそうだ。
澄んだ群青やダークオレンジが木や建物を影絵のように浮き彫りにする。
彗はまだ生きている。
手が温かい。
生きている人にしか与えられない温みを持っている。
あまりに皮肉すぎる。
人が苦しむのを常に傍観していた彗が、苦しむ張本人になってしまうなんて。
「……馬鹿じゃないの……」
出た声はびっくりするほど弱々しい。
もう一度、強く握る。
「……起きてよ、起きてよ」
今さら、これは何かのドッキリなんじゃないかと思い出している。
彗はただ、演技をしているだけで『彗、生きてるの?』と私が訊いたら彗はむっくり起き上がって『人が死ぬ時ってこんな気持ちなんだ』とか言って終わる気がする。
そうあれたらどんなにいいか。
まだ話して3ヶ月しか経っていないのに、私は、思っている以上に彗が大切だった。