雪の光


ラケットを持って教室を出ようとすると、気持ち悪くなり、トイレに駆け込んだ。


「ううっ……」


苦しい。こんな思いまでして部活に行くなんて。


「うっ……はぁ、はぁ……」


食べても食べても結局全て戻してしまう。


高校2年になってからげっそりしてしまった。


肌荒れも酷いし、爪の際はあかぎればかりだし、陶器の破片でつけた傷が見えないところにはそこかしこにある。


不健康極まりなさすぎる。


しばらく立てなくて、便器にしがみついているうちに呼吸が楽になってきた。


ゆっくり立ち上がると目の前がちかちかする。


それが治まるのを待って、教室に戻る。


トイレと教室はたった5メートルくらいしか離れていないのに、その途中でまた苦しくなってしまう。


……彗。


誰も助けてくれなくても、彗なら助けてくれる気がした。


とにかく、教室まで行って、携帯で連絡をすれば。


この前会ったときにたまたま電話番号を交換していたことを思い出した。


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