雪の光


授業が全て終わっても、私はまだ部活に行かないといけない。


これから1時間くらい、まさに苦行の時間。


着替える気も起きなくて、窓から練習風景を眺めている。


きっと、私がいない方が練習は盛り上がるに違いない。


今だって、向こうでアミやワカナがはしゃいでいる。


私がいても、気を遣わせるだけでお互いに気まずい。


このままではいけないことはずっと分かっている。


いつまでも言い訳ばかりしているわけにはいかないことも、拒絶しているのも良くないことも、話さないことも、全部分かっている。


だけど、難しい。


たった一言、素直に「もっと話したい」と言えたらいいのに。


……彗はこんな事で困らないんだろうな。


少ししか話していないのに、自由で、自分を信じて、簡単に人に溶け込めるのだろうと彗のことが分かってしまう。


何も感じられないくせに、負の感情だけは分かるから今の私は自分が憎い。


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