雪の光
雪に音が全て吸収されて、世界は音もないただただ真っ白なものになる。
私たちの足音だけが響く。
並木道を抜けたら、家は反対方向にあるからここで別れる。
「……ありがとう、久しぶりにイルミネーション見られて良かった」
「俺も、侑里と見られて良かった。
……じゃあ、また今度」
「うん、じゃあね」
どちらからともなく別れ、お互いの日常に戻った。
しばらくは会わないだろうと予感して後ろを振り向こうかと思ったけれど、私らしくない気がしてやめた。
空を見上げると、地平線の辺りに月が上っていた。
この前までは満月だったのに、もう半月になってしまっている。
携帯のカメラ機能を使ってカシャリと撮ってみる。
夜には眩しすぎるのか、ただの発光体になってしまった。
昼間はあんなに青白くてよく見ないと気付かないのに。
角を曲がるともう家に着く。
誰もいない家に向かって言う。
「ただいま」