雪の光
「侑里、おはよう」
勉強していると、後ろから千夏に声をかけられた。
「おはよう」
「え、何、新学期から勉強?」
「まあ、一応。
少しずつやっていこうかなって思って。
とりあえず大学は出ておきたいから」
冬休みは、大学でやりたいことは見つけられなかったけれど、大学に行く意志は固まった。
「そうなんだ、一緒に頑張ろう!」
「うん、そうだね」
「でもさあ、侑里がそんなこと考えていたなんて知らなかったよ」
鞄を置きながら千夏が言う。
「え?」
「大学は出ておきたいってこと。
今まではてっきり侑里は本気で大学を目指しているのかと思っていたよ。
なのに、今決まったような言い方だったから。
違ったらごめん」
図星で千夏をまじまじと見てしまう。
「そんな感じ、かな」
曖昧にして、意味もなく机の中を漁った。
こうやって逃げていることも、良くないのは分かっている。