雪の光


まだ笑顔なんて程遠いけれど、少しずつ笑えるようになってきている。


もう一度、マフラーの中で口角を上げてみる。


「笑った方がいいよ」


「え?」


「もっと自分の気持ち出しなよ。

いつも遠慮しているように見える」


「そう、かな」


「気持ちを言えば、周りの人も分かってくれるんじゃないかな」


「……うん」


「それに、」


「どうしたの?」


「あ、やっぱりなんでもない。

俺、こっちの電車だから」


「ありがとう、一緒に帰ってくれて」


「ん」


「じゃあね」


「おう」


電車に乗ると、急な寒暖差で手が真っ赤になる。


冬はこれが嫌なんだよな、こんなに寒いなら雪でも降ればいいのに、と心の中でぼやきながらかじかむ手で携帯電話を操作すると、ニュースが流れてきた。


いつもは気にならないのに、変だ。


慣れないことをしているせいで頭がおかしいんだろうな。


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