水月夜
いつまでもしゃがんでる場合じゃない。


首を軽く左右に振り、机に置いてあるメイク道具入りの箱を取りだす。


数分かけてメイクをし、ボサボサになっている髪をクシとヘアアイロンで整えた。


鏡を手に取って、鏡に映るもうひとりの自分にニコッと微笑んだあと、箱とクシとヘアアイロンをもとの場所に戻してカバンを肩にかける。


カバンにはもうすでに今日の授業で使う教科書やノート、筆記用具が入っている。


必要なものは昨夜のうちに確認しておいたから大丈夫だろう。


こくんとうなずき、部屋を出て階段を下りる。


階段を下りてリビングにひょこっと顔を覗かせるが、お母さんの姿はどこにもなかった。


仕事が長引いてるのか、それともどこか別の場所で夜を明かしたのか。


数メートル先の玄関をよく見ると、お母さんの靴が消えている。


仕方ない、今日はひとりで朝ご飯を食べるか。


軽く息を吐いてリビングに入り、テーブルの上にある惣菜パンを手に取った。


袋を破りながらリモコンでテレビをつけた直後、驚きの声をあげてしまった。
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