水月夜
表情が暗かったのがフラれたせいなら、弱点が失恋だと推測するのが正しい。


直美の弱点は失恋、か。


直美が触れたくない話題を口にしてクラス全員の目の前で言ったら直美の傷は深くなるが、反省してくれる可能性はある。


わずかな希望に賭けるってことだね。


心の中でうなずく私と考え込む紀子に、ヒロエが嬉しそうな顔で返事を求めた。


「ねぇ、ふたりとも。失恋したことを武器にして、直美に仕返ししない? そしてこのクラスから追いだしてやろうよ」


このクラスから直美を追いだす。


そんなこと私には絶対できないけど、ヒロエがどうしても仕返ししたいって言うなら……。


「可能性は低いけど、やってみよう」


「そうね。やってみなきゃ結果はわからないし、女王様の直美に勝てるかもしれないし」


こくんとうなずいた私の言葉で、渋々ながらもヒロエの意見に賛成する紀子。


「よし、決まり。今日の放課後、女王様の泣きじゃくる顔を見ようね」


そう言ってヒロエはニヤッと口角を上げた。
< 202 / 425 >

この作品をシェア

pagetop