水月夜
「怖いことはなにもしないって言っておいてカバンを引っ張ってくるなんてバカじゃないの? 頭ゆるすぎだっつーの」


必死に抵抗する直美に対して、余裕の表情を見せるふたり。


だが、直美も完全に心が折れたわけではない。


ヒロエと紀子の不敵な笑みを見て、突然鼻を鳴らし、口角を上げた。


「あんたたち、タバコのこと先生にバラされてもいいわけ? バラされることを考えずに私の腕を拘束するなんて、そっちのほうがバカじゃん」


やはり拘束されただけでは反省してくれない。


でも、持ってきた武器を使えば反省してくれるかもしれない。


頭の中に浮かぶアイデアをヒロエと紀子も頭の中で浮かんだのか、強く言い返した。


「バカはあんたでしょ。タバコのことだって時効だし、勝手にチクれば? 紀子もそう思うよね」


「そうね、直美のほうがよっぽどバカだもんね。タバコのこと先生に言っても証拠ないし。てか、ここにいる全員、直美の言うこと信じてないし」


昨日まで直美と同じグループのメンバーだったとは思えないセリフ。
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