水月夜
それに、私の部屋から『水月夜』がなくなっているかもしれないだろう。


「まぁ、『水月夜』の呪いが解けていないのは俺はわかってたよ。昨日の夜、俺のいとこが電話で泣きついてきたし」


天馬くんも『水月夜』の呪いが解けていないのはわかっていたことだったらしい。


「泣きついた?」


聖奈が不思議そうな顔をする。


「あぁ。『なにもしてないのに部屋の電気が消えるし、きれいに片づいていたはずの部屋が勝手に散らかるし、誰かの手が夜出てくるし』って」


それは『水月夜』を飾ってはいけない方角に飾ったせいだろう。


千尋も同じことを体験していたから。
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