水月夜
心の中でつぶやいた言葉を口にするのに、そう時間はかからなかった。


「天馬くん。それは『水月夜』を飾ったらダメな方角に飾ったからだよ」


「えっ……?」


天馬くんが視線をこちらに向けながら、飛び出さんばかりに目を見開いた。


「飾ったらダメな方角……?」


「うん。私、部屋の北側に『水月夜』を飾ってるんだけど、不思議な現象は起きてないよ。ただ絵が変わるだけ」


「マジか……。いとこは『水月夜』を南側に飾ってたって言ってたから、不思議な現象が起きたのか……」


納得した様子でぶつぶつとつぶやく天馬くん。
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