ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
* * *
「手術で症状はなんとか落ち着きましたが、無理はできません。意識が戻って体力が回復したら、今度は別の手術を行う必要があります。その件に関しましては追ってお話しさせていただきますので、本日はゆっくり休まれてください」
「はい。ありがとうございました」
病室を訪れてくれた先生に深く頭を下げる。
「点滴が終わる頃にまた伺いますね」
隣にいた看護師さんにも「ありがとうございます。よろしくお願いします」と会釈すると、ふたりは一礼してから部屋を出ていった。
父は、しばらく入院することになった。
先生から聞いた話では、やはり持病の心臓発作だったらしい。救急車内で意識を失った父だったが、救急隊員さんたちの懸命な処置のおかげで一命をとりとめることができた。病院についてからすぐに手術が行われ、今は病室で眠っている。
私はベッドのそばにあった丸椅子に腰掛け、父の顔を覗き込んだ。表情が穏やかになったのを見て、ようやくほっと息をつく。
意識はまだ戻っていないけれど、命に別条ない。先生からそう告げられたときには、張り詰めた緊張が解けたせいかその場に崩れ落ちた。全身が震え、情けなくも子供のように泣いてしまった。
「手術で症状はなんとか落ち着きましたが、無理はできません。意識が戻って体力が回復したら、今度は別の手術を行う必要があります。その件に関しましては追ってお話しさせていただきますので、本日はゆっくり休まれてください」
「はい。ありがとうございました」
病室を訪れてくれた先生に深く頭を下げる。
「点滴が終わる頃にまた伺いますね」
隣にいた看護師さんにも「ありがとうございます。よろしくお願いします」と会釈すると、ふたりは一礼してから部屋を出ていった。
父は、しばらく入院することになった。
先生から聞いた話では、やはり持病の心臓発作だったらしい。救急車内で意識を失った父だったが、救急隊員さんたちの懸命な処置のおかげで一命をとりとめることができた。病院についてからすぐに手術が行われ、今は病室で眠っている。
私はベッドのそばにあった丸椅子に腰掛け、父の顔を覗き込んだ。表情が穏やかになったのを見て、ようやくほっと息をつく。
意識はまだ戻っていないけれど、命に別条ない。先生からそう告げられたときには、張り詰めた緊張が解けたせいかその場に崩れ落ちた。全身が震え、情けなくも子供のように泣いてしまった。