ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「あ、来たかな」

 ものの十五分ほどでインターホンが鳴り、私はモニターを覗き込む。

『おはようございます。西留でございます』

 そこには、今日も依然としてビシッとした雰囲気の西留さんが映っていた。

「お、おはようございます。すぐ下に行きます」

 そう答えて、私は急いで部屋を出る。

「西留さん」

 エントランスホールで待つ彼女の姿を認めて駆け寄る。私に気づいた西留さんが、こちらに向かって会釈をした。私もそれに応えつつ、

「わざわざすみません。これだと思います」

 持っていた封筒を手渡す。

「あと、これ、よかったら」

 それと、家にあった缶コーヒーを差し出した。

 忙しそうだったし、せめて帰りの車でひと息つければと思ったが、急だったからこれしか用意できなかった。

 西留さんは缶コーヒーを見据え、動きを止める。
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