ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
『実はですね、昨日の返済日に今月分の入金が確認できなかったのでお電話させていただいたのですが、お父様からなにかお聞きになっていらっしゃいますか?』
「……今月分の入金?」
驚きで心臓が高鳴る。
『あー、ご存じない』
男性は、わざとらしく言う。私が呆然としていると、男性はひとりで話を進めていく。
『以前うちが貸し付けを行った並木さんが夜逃げをされましてね。こちらも捜索はしたのですが見つからず。そこで、連帯保証人だったお父様に先月ご連絡させていただいたんですよ』
その言葉に、血潮が逆流する思いがした。
並木……? おじさんが!?
並木さんとは、父と古くから付き合いにある友人だ。うちの近くで理髪店を営んでいて、昔からよくうちにうどんを食べに来ては父と話し込んでいた。私も昔から並木夫妻のことを、おじさん、おばさん、と呼んでいて、子供がいなかったふたりも私のことを本当の子供のように可愛がってくれていた。
母が亡くなったときも、ふたりはずいぶん心配して気にかけてくれていたっけ。数か月前におばさんが病気で亡くなって、おじさんが家にこもるようになって何度か様子は見に行っていたけれど、まさか夜逃げなんて……。それも、父がその借金の連帯保証人?
「……借金は、いくらあるんですか?」
問い掛けた声は、男性にも伝わってしまいそうなほど震えていた。
「……今月分の入金?」
驚きで心臓が高鳴る。
『あー、ご存じない』
男性は、わざとらしく言う。私が呆然としていると、男性はひとりで話を進めていく。
『以前うちが貸し付けを行った並木さんが夜逃げをされましてね。こちらも捜索はしたのですが見つからず。そこで、連帯保証人だったお父様に先月ご連絡させていただいたんですよ』
その言葉に、血潮が逆流する思いがした。
並木……? おじさんが!?
並木さんとは、父と古くから付き合いにある友人だ。うちの近くで理髪店を営んでいて、昔からよくうちにうどんを食べに来ては父と話し込んでいた。私も昔から並木夫妻のことを、おじさん、おばさん、と呼んでいて、子供がいなかったふたりも私のことを本当の子供のように可愛がってくれていた。
母が亡くなったときも、ふたりはずいぶん心配して気にかけてくれていたっけ。数か月前におばさんが病気で亡くなって、おじさんが家にこもるようになって何度か様子は見に行っていたけれど、まさか夜逃げなんて……。それも、父がその借金の連帯保証人?
「……借金は、いくらあるんですか?」
問い掛けた声は、男性にも伝わってしまいそうなほど震えていた。