ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
『返済がなかった期間もあるので、あと一千万円ほどですね』

「そんなに……!」

 そんな大金、うちにあるわけない。

『とりあえずうちは、利息分の四十万だけでもいただければ問題ありません』

 男性は平然と告げる。

 月に利息分だけで四十万?

 途方もない数字に、これが現実なのかさえもわからなくなった。目の前が真っ暗になる。

『今後の返済計画も含めてお話がございますので、夜、お店に伺わせていただきます。それでは』

 耳もとでは、ツー、ツー、と機械音が響く。私は携帯を閉じて、倒れるように再び丸椅子に座り込んだ。

 一千万……。

 ゆっくりと頭の中を整理する。

 どうしておじさんが借金をして、お父さんが保証人に? そして、私たち親子にあんなによくしてくれていたおじさんが、借金を押し付けて逃げた? どうしてそんなことに……。

 ベッドのシーツをぐしゃりと握り締める。
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