ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「並木さん。私はおじさんって呼んでいたんですけど、おじさんは、私たち親子にとってとても大切な人だったんです。結果的に借金を残してどこかへ行ってしまったけど、きっとそれには事情があって……」

「君は本当にお人好しだな」

 歯切れ悪くなった私に、颯馬さんが言った。それは私を咎めるような口調ではなく、柔らかで、彼の口角もゆるりと上げられていた。

 私は不思議と安心感に襲われる。

「そんな……」

「闇金融からあれだけの借金を背負わされて、そんなふうに思える人間なんてほとんどいない。その上その人がどうしているか気になるなんて、お人好しじゃなかったらなにになるんだ?」

「闇、金融?」

 その言葉に、私は一気に現実に引き戻された。

「やっぱり気づいてなかったのか。あれは普通の金融会社じゃない。違法の貸付をしている闇金融だ。現に、金利が普通じゃなかっただろ」

「全然、知りませんでした……」

 思いもよらぬ真実に、はっと息を呑む。
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