三十路令嬢は年下係長に惑う

「すみません！　遅くなりまして」

　恐縮しながら水都子が入ってきて、

「秒殺ですよ、秒殺」

　余裕綽々で鈴佳も後に続いた。

「荒れてるねえ、スズちゃん、何飲む？」

　白井がドリンクメニューを渡しながら言った。

「水都子さん、何飲みますか？」

　白井が受け取ったドリンクメニューをそのまま水都子に渡しながら鈴佳が尋ねると、水都子はメニューを受け取りながら、

「皆さん、最初は生ビールでしたか、じゃあ私も同じものを」

　と、答えると、鈴佳もそれに倣って生ビールを注文した。しかし、二杯目は別の物を頼もうと、鈴佳と二人でラインナップのチェックに余念がなかった。

　人数分のジョッキがテーブルに並ぶと、仕切り直しの歓迎会が始まった。