今でもおまえが怖いんだ
「それで、大丈夫なの? メンタルやられてない?」
リストカットのジェスチャーをしながら、彼はまだニヤニヤと笑ったままだ。
そもそもこの表情がデフォルトだからと出会った当初に言われてしまった。
この人の真剣な顔とか怒った顔とか悲しそうな顔とかを私はまだ1度も見たことがない。
ニヤニヤが真顔なようで、ある意味ポーカーフェイスだ。
どんな会話をしていても常に煽られているような気分になるのでなんとなく苦手意識を持ってしまったままでいる。
「別れたのは結構前だったし、別にまあ……」
次の言葉が思いついたけれど、それは飲み込んだ。
「まあ、俺もいるし?」
宗徳さんに言われて、「うん、それそれ」と同じ調子で答えた。
正直その通りだったのだ。
私の中で利久さんの存在はそう大きなものではなかった。
確かにあの日の夜は心細かったし喪失感とか虚無感とかいろんなものに苛まれて眠れなかったけれど。
それでも2日も経たずに気持ちは落ち着いてきてしまっていた。
元々こうするつもりで別れを切り出したんだもんなあと別れる原因になったこととかも思い出してみたら、普通に納得ができてしまった。
リストカットのジェスチャーをしながら、彼はまだニヤニヤと笑ったままだ。
そもそもこの表情がデフォルトだからと出会った当初に言われてしまった。
この人の真剣な顔とか怒った顔とか悲しそうな顔とかを私はまだ1度も見たことがない。
ニヤニヤが真顔なようで、ある意味ポーカーフェイスだ。
どんな会話をしていても常に煽られているような気分になるのでなんとなく苦手意識を持ってしまったままでいる。
「別れたのは結構前だったし、別にまあ……」
次の言葉が思いついたけれど、それは飲み込んだ。
「まあ、俺もいるし?」
宗徳さんに言われて、「うん、それそれ」と同じ調子で答えた。
正直その通りだったのだ。
私の中で利久さんの存在はそう大きなものではなかった。
確かにあの日の夜は心細かったし喪失感とか虚無感とかいろんなものに苛まれて眠れなかったけれど。
それでも2日も経たずに気持ちは落ち着いてきてしまっていた。
元々こうするつもりで別れを切り出したんだもんなあと別れる原因になったこととかも思い出してみたら、普通に納得ができてしまった。