今でもおまえが怖いんだ
有馬君と出会うまで、スポーツマンが苦手だった。

大人しい文化系の男性があくまでも私のタイプではあったし、こういった有馬君のような男性は私なんて相手にしてくれないどころかバカにしてきそう、危害を加えてきそうとまで思っていた。

繊細さの欠片もなくて人の痛みに鈍感で、自分は傷付かないからって人を傷付けることに何の罪悪感も覚えなさそうで。
ウェイ系とかDQN系とかカテゴライズして、私は彼らのことをずっと遠ざけていた。

有馬君だけは良いかもしれないと思ってしまったのは、彼をその他大勢と差別化するボディピアスだったのかもしれない。

「これ片方だけにするの?」

「そりゃあ、両方垂れ下げてたらちょっとダサいっしょ」

もう乳首の話題は良いからと有馬君は少し照れたように言って、私の乳房を乱暴に掴んだ。
ふざけた調子で揉みしだくことを、彼はいつも事後に行う。

私たちはお互いにあまり前戯が好きではなくて、互いのモノを口に含むことを嫌がったし、相手の液が指につくことにも多少の抵抗があった。

「なんつーか、向いてないっすわ、こういうの」

罪悪感でいっぱいだーと有馬君はおどけた調子で言いながら私を抱き上げるようにして自分も立ち上がった。
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