今でもおまえが怖いんだ
寝起きの顔を晒したくないからという理由で彼はハンドタオルを顔にかけて眠る。

死人みたいねと以前茶化してみたら、「美容院のシャンプーの時」と訂正された。

このタオルを外すとたいがい低く小さな声で「眩しい」と一言だけ注意をされる。
そう言われたらまたすぐにタオルを彼の顔に戻して私は自分だけベッドから降りる。

シャワーを浴びようと思い皺が寄ってしまったブラウスのボタンを1つずつ外しながらそういえばと部屋を振り返る。

枕もとには未使用のコンドームが本来の場所にちゃんと置かれている。
ゴミ箱には昨晩持ち込んだリプトンのミルクティーのパックしか入っていない。

スーッと眠りこけている29歳も、グレーのパーカーにネイビーのハーフパンツを着用したまま眠っていた。
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