今でもおまえが怖いんだ
外に出てもコンビニの駐車場は車が1台も停まっていなかったから、縁石を腰かけにして座り込んだ。
直樹君から「ちょっと迷っているんだけれどもう結構近くまで来ているんだよね」と電話が来ていた。

カーナビの音声が話し声の後ろから聞こえてくる。

「ねえ、私、今かなり見た目酷いかも」

私の言葉に直樹君は「んー?」とおかしそうに笑っていた。

「あのね、透子ちゃんは普段オシャレしているからそう思うだけだよ。俺なんて今じゃなくたって年中無休で酷い顔しているんだからさ」

「そんなことないじゃん。私の記憶の中の直樹君はKPOPユニットの左端から3人目くらいにいそうなビジュアルだよ」

「あー、それ記憶結構間違えてるよ透子ちゃん」

電話の向こうで直樹君は明るく笑っている。釣られて今度こそ私も笑ってしまった。
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