今でもおまえが怖いんだ
私の座っている縁石の横に付けられた車を見上げ、私は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。

うっそ、これ?

あまりにも大きな車体。見慣れない程の光沢。
日本車ではないだろうと一目で分かる垢抜けたデザイン。
そもそも絶対に高級車。

エンジンを切って下りてきた直樹君は、私の記憶よりもずっと大きく見えた。

彼はすぐに私の目の前に座り込むと、「久しぶり」と視線を合わせて笑ってくれた。

人がクシャっと皺を寄せて笑うのをどれくらい久しぶりに見ただろう。

安心するとまたボロっと涙が零れ落ちてきた。
それでも彼の笑顔に釣られて引き攣った笑みを私まで浮かべてしまう。

ごめんなさいもありがとうも咄嗟には出てこなかった。たくさんの気持ちが渦巻いて、彼を目の前にして恥ずかしさというものがようやく生まれた。

「車、すごいね」

疲労と混乱と安堵の中でようやく出てきたのはそんな言葉だった。
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