今でもおまえが怖いんだ
「もっと長い目で見てよ。これから透子ちゃんが60年生きるとしたらさ、しっかりしていられる時と頑張れない時なんて同じくらいあったって全然構わないじゃん。今はさ休憩期間なんでしょ。そういうの気に病まないでしっかり休んでよ。どれだけかかっても良いからめちゃくちゃ自分のこと甘やかしてさ、コンディション整えてさ、それでまた綺麗で完璧な透子ちゃんに戻っていこうよ。それまでの息抜きにはいくらだって付き合うからさ。美味しいお店食べに行ったり綺麗な景色見に行ったり、温泉とか旅行とかそういうのだってたくさんいくらでも付き合うから」

ああ、もう、何で。

思いがけず零れた涙が皮のむけた膝小僧に落ちてヒリヒリと痛んだ。
あれだけのことがあったって泣けたことなんて1度だってなかったのに、本当にすっかり弱ってしまっているのだと思った。

「ねえ、着いたよ」
そんな声と一緒に、駐車場に眩しい光が差し込んできた。
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