明日キミに聴かせたい
「やっぱり白神さんじゃん!うっわ、久々~」
自分でわかるぐらい目が熱を持ち、目の奥で蘇ってしまった過去がどんどん感情を連れてくるのがわかった。
赤山…だ。
「あ…ぅん…」
「担任から聞いたよ具合悪いんだってね~もう外出とかして大丈夫なの?」
逃げなきゃ。逃げなきゃ。と思いながら動かない足に苛立っていると赤山さんが私に近づいて腕を掴んだ。
「やっ!!!」
思わず掴まれた手を払うと、赤山さんは一瞬苛立った顔を私に向けてすぐ「そこ危ない…」と数人にぶつかられた私を気にして安全な自分がいる所に引き寄せようとしてくれたらしい。
「って……そりゃ怖いか。うん、そうだよね。ごめん。私白神さんに酷いこといっぱいしたもんね。ごめんね」
眉を八の字にしながら「ごめんね」と何度も赤山さんは私に向かって頭を下げた。
「許して…くれる?」
「……さない………絶対……」
絶対許さない。と呟いた私の声は途切れ途切れで、それでも赤山さんは眉を八の字にしたまま何かを察したのか「ごめん…本当に…ごめん白神さん……」とまた頭を下げたけれど、私はその姿を横目に全速力で走った。