明日キミに聴かせたい

私は唾を飲み込み、速くなる鼓動を落ち着かせながら、前から歩いてくる生徒と顔をうつ向かせることなく正面を向いてすれ違った。


二人のうちの一人がすれ違いざまに「白神…」と言ったけれど、私は無言で振り向くことも、立ち止まることもせず歩き続けた。


"羽流ちゃんなら大丈夫だよ"

"もうキミは強くなってる。だから大丈夫"


絶対的根拠がどこにあるのかなんて私にはわからないけれど、大丈夫と言ってくれた言葉が今、私に怖さに真正面から立ち向かう勇気をくれた。


「羽流…」

「ん、大丈夫」


すれ違った黄本さんの目は、私を見てぎょっとし、赤山さんは伏し目がちに小さく私の名を呟いていた。

その表情を見た時、私はこんな奴らに怯えていたのかと思った。


「じゃあね、羽流。何かあったら隣のクラスだからいつでも来てね!」

「うん、ありがとう…」


奈津が「おはよう」と教室に入って行くのを見て、私はドアに触れながらもあと少し、ほんの少しの勇気が出せずにいた。


また知らない人たちの中に飛び込む勇気。
話しかける勇気を私はもう一度出せるだろうか…




ガラッと後ろのドアを開けた。


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