明日キミに聴かせたい

「そういうわけで、先輩は花瀬先輩が羽流のIDを欲しがってたから私から聞き出し…」

「なにそれ。橘あいつ何様?私の奈津に何ぬかしてんだあいつ!!そりゃ友達が知りたがってるならなんとか力になってやりたいって気持ちはわからなくもないけどさ、けど橘が奈津にしたことは絶対許さない!!ああー腹立つ腹立つわー橘孝太郎っ!!」


鞄からスマホを取り出した奈津は、私の隣に座り直すと、画面を私に見せながら、沢山の画像を次々に選択していった。


「何してるの?」

そういう私をよそに奈津は次々に選択していき、最後の画像を選択し終えると私の顔を見て言った。


「えいっ!」


その声と共に削除ボタンに触れた時、一瞬にして奈津のスマホのフォルダから橘孝太郎は消えてなくなった。

待ち受けにしていた橘孝太郎も消えてなくなり、橘孝太郎の連絡先も奈津は躊躇することなく消してしまった。


「いいの?」

「いいの。もっと素敵な恋してめちゃくちゃ美人になってやるんだ」


ははは。と笑った奈津は、しばらく笑顔で橘孝太郎の悪口を言い始めた。

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