明日キミに聴かせたい

そしてしばらくして車は停車し、私は3人と共に車から下車し、しばらく歩くと、大きな湖が見えて3人は足を止めた。

私は湖を目の前にチラチラと3人の顔を横目に、なんとか足の震えを止めようと必死になっていた。


「ねぇ白神、知ってる?ここの湖の名前」

「え…しらな…」

「しんじゅこ…神の樹の湖って書いて神樹湖っていうんだよ」

「へ、へぇ…」

「その昔、ここには大きな大きな木があってね、それをここら一帯に住んでた村人は神の樹として崇めてたんだって。なんでかわかる?どんな病になっても、どんな災害が起こっても村人が誰一人死ななかったから」

「そ、そうなんだ…」

「だけどね、ある日村人が一人死んだの。なんでだと思う?」

その問いに私は怖さを感じて目を逸らした。

するとクスっと笑って彼女は言った「酔った勢いで神の樹を汚したから殺されたの」と。
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