リングサイドブルー
人から注目されるほどの何かをしているわけでもないのだから、呼び出しは仕事のミスではない。

(どうすんだ、俺)

 動揺しながらミーティングルームの扉を開く。そこにはすでに塚原の姿はなかった。千晃は勧められるがまま椅子にかけた。向かいには、にこやかに笑みを浮かべた四十代前半の部門長がいる。

「悪いね、突然」
「いえ」

「森住さん、最近はどう」
「はあ、それなりに」曖昧な質問に、曖昧なまま返事をする。

「心暖ちゃんはいくつになったっけ」
「三歳です、先月で」

「可愛いでしょ。女の子はよく話すから面白いんじゃない」

「友達の話だとか、保育園でその日にあったことをずっと話してますね。髪形や服装に気にしたり、よく見てるなと驚くこともありますが」

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