リングサイドブルー
忙しくても充実した日々を送っているのだということが、表情に出ている。それまで大企業の親会社というのは、周りに気を配ることを知らないエリート連中ばかりだと思っていたがそうでもないのかもしれない。

(むしろ、無神経なやつと仕事をするほうがこっちも楽ではあるんだけど)
 首藤を目線で追ったきり、コンビニの自動ドアを見続ける心暖に声をかけ、千晃は来た道を折り返した。

「心暖、さっきのお団子やさん行こうか」
 心暖は喜びを満面の笑みに乗せて頷いた。

「ひとりでぜんぶたべられるよ」
 大人と張り合いたいのか、食い意地なのか、心暖はよくこれを言う。

「まあ、たまにはいっか。昼食が団子でも。夜はばあちゃんとこ行くしな。そこでいやでもがっちり食わされるし」

「なんでおばあちゃんのうち行くの?」
「なんでって、ばあちゃんが心暖に会いたいって言ってるからだよ。心暖もばあちゃんち好きだろ」

「んー」
 気乗りしないのか、心暖の表情がかげる。
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