リングサイドブルー
6

 基幹システムの開発は五人で始まった。要件出し、インターフェイスのデザイン、設計、コーディング、テスト、膨大な仕事量をこなすのに大手情報システム企業ならひと月に三十人は使うところだろう。

下請けも検討するレベルの仕事量のはずだ。大企業の、それに関連会社との連携が可能でセキュリティ対策万全の、十年後もまともに動くものを作るのが、たった五人だ。

(常識が違うだろ)
 涼しい顔でキーボードをたたく優月を横目に、千晃は心の中で悪態を吐いた。

親会社から業務委託を受けたベンチャー企業、フリークスタンダードのエリート集団ぶりはよくわかっているが、これをベースにされるとかなり苦しい。

「ねえちゃっきー、ちょっとUIの意見ほしいんだけどいい?」

 優月が椅子をくるりと回して、千晃に身体を向けてきた。生意気そうな二重の猫目が瞬きする。
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