リングサイドブルー
(一応、話はしたけど……)

 純粋な疑問をぶつけてはきたし、言葉をすくって何らかの反応を示しはしたが、実際にどこまで理解しているのかは不明だ。

(こうやって機会があるときに、段階を踏んで伝えていくしかないんだよな、きっと)

 とりあえず自分がそれまでの間にできることは、すべてを心暖が理解できるようになったときに、心の傷にならないように、今、精一杯愛情を注いでやることなのかもしれない。

 千晃は自分自身をそう納得させて、心暖のそばを離れた。
テーブルの上にラップトップを設置する。寝るまでの少しの間でも、プログラミングの練習をしようと、千晃はエディタを立ち上げた。



 チョコレートの魔法が効いたのだろうか。翌朝の心暖はここ数日のぐずりが嘘のように、さっぱりした表情だった。

 久しぶりに上機嫌な心暖をつれて保育園に行くと、入り口の前に、母親の手を握った男の子の姿が見えた。
< 78 / 102 >

この作品をシェア

pagetop