箱入り娘に、SPを。
おそらくしっかりと計画していたのだろう、あの場から逃げたとしてもすぐにつかまる運命だったのだ。
他にもスーツ姿の似たような強そうな男たちがたくさん近づいてきた。

「やーっとつかまえたな!」

「手間かけさせやがって…」

「まあそう言うな。本番はこれからだ───」

口々に話す男たちの会話の内容が、明らかに“誘拐犯”である。


「丁重に扱えよ」

と、風見さんが冷静な様子で言うのが聞こえた。
私は口を塞がれたまま抱えられていて、天地が行ったり来たりしている。
振動でパンプスが足から落ちる。右足、左足、いつの間にかどちらも裸足になっていた。

どうやら地下駐車場へ出たらしく、そのまま黒塗りのワゴン車の後部座席に押し込められた。

「離して!」

車に乗せられた瞬間、男の腹を目がけて蹴りを入れようとしたが、あっさりとガードされてしまった。

「‪お嬢さん、お行儀が悪いよ」

三列シートの一番後ろに乱暴に投げられる。

抵抗しようにも、その一番後ろのシートにも男が二人いて両腕を拘束されてしまった。
頭も脚も押さえ込まれ、どうにも動けなくなった私を見て、男たちは愉快そうに笑っていた。


「こんな時のために、体術でも習っておけばよかったのに。バカな女だ」


声は、もう出せなかった。
怖すぎて、恐ろしすぎて、為す術なく車は出発した。






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