箱入り娘に、SPを。
二階の彼女の部屋までしっかり送り届けて、ようやく私は力が抜けた。

「なんか、今日は…すごく疲れました」

改めてエレベーターに乗り込んで、六階を目指す。
エレベーター内で小太郎さんは、私のつぶやきには反応せず無言のままだった。

エレベーターが六階に着くか着かないか、そんな時にようやく小太郎さんが口を開いた。

「美羽さんはお人好しだね」

「え!?そうですか!?」

言われていることがピンと来なくて、首をかしげてしまった。


「まず、痴漢の被害に遭うという大きな恐怖に襲われたにも関わらず、君はすぐ他人を助けた」

「だってあの状況、見過ごせないですよ!」

「ほら、そういうとこ。僕に任せてくれたらよかったのに」

「…そっか、本職の方がすぐそばにいたっていうのに、出しゃばっちゃいましたね」

なんとかしなくちゃ、という気持ちだけで動いてしまって、言われてみれば隣に警察官がいたではないか。
専門職の人に一任すべきだった。

「私ね、今日思い知ったんです」

エレベーターを降りながら、帰りの駅での出来事を思い出す。
もう、手の震えはなかったが恐怖心は残っている。

「守られてばっかりじゃダメだなって。ちゃんと怖いと思った時、怖いって言えるようにしなきゃ、戦わなきゃいけないなって」

「えっ、戦う?」

私の発言が予想外だったのか、彼はびっくりしたように目を丸くした。

「戦うって、なんで?」

「だって一方的に守られてるのって、なんか納得いかない!私がこんなだから、お父さんも私に護衛をつけるんじゃないかなって」

「いやそれは…」

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