箱入り娘に、SPを。
不思議がる父に、母は
「美羽がついに彼氏を連れてきたー！って勘違いしちゃったのよ！」
と興奮気味に言うのだった。

小太郎さんは、もはやいつコーヒーを飲めばいいのか分からなくなったらしく、スプーンを永遠にぐるぐる回している。


「馬鹿なこと言うんじゃないよ。美羽には今までもこれからも、彼氏なんていらないの」

「それにしたってあまりに好青年だから…」

「ねえ、私に彼氏なんていらないってなんでお父さんが決めるの！？」

家族の会話が入り乱れる。

「お父さんのせいで、本当にこっちは迷惑してるんだから！小太郎さんのプライベートも奪っちゃってるって分かんないかなぁ！？」

「たしかにそうよねぇ。三上くん、彼女とかいないの？大丈夫？彼女怒ってない？」

「自分は今は誰ともお付き合いしていませんので…」

「ほーらそう言ってるんだからいいじゃないか！お前も心配していただろ？美羽のことは」

今度は四人の会話が入り乱れる。
怒りに満ちているのは、どうやら私だけのようだ。


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