虚愛コレクション


気に入らないから言葉を集めた。ない頭を動かした。頭が熱くなった。

私らしくない。あるいは、私らしいともとれる。


「私を大事にしてくれてるって言うなら、浮気なんてしなきゃいいじゃないですか。私を、私だけを見て……っ!」


そこでハッとして口を手で塞いだ。

ちょっとした反論だったのに出す話題がまずかった。頭が熱くなった時点で気づくべきだった。感情的になりすぎていたのだ。


「……」


何も言えず下を向くと、見て分かるくらいに握りしめた手が震えていた。

暫しの沈黙があったが彼はただ


「ふぅん」


と、何かに納得をした。


「何……ですか?」


恐る恐る聞く私とは真逆に表情なんて一切変えず、言った。


「愛されたいんだ?」


と、酷く重い一言を。


< 110 / 288 >

この作品をシェア

pagetop