虚愛コレクション


ビクリと体が跳ねた。何故か。図星に恐れたから。

だが、見透かされてしまったのなら、足掻きをしても無駄。せめて、出来る措置をするだけだった。


「私が愛されたいんだとして。透佳さんは「俺はアンタなんかそういう風に扱わない」」


なのに先回りをされる。きっぱりと切り捨てられ、気持ちは宙に浮いた。


「やっと納得した。ただ、寂しいから俺の傍にいるのかと思ったけど、違う」


そっと自らの手首を撫で一瞬目を伏せると、再び視線を合わせてきた。

浮いた気持ちは相殺される。


「寂しいだけなら俺じゃなくていい。アンタは俺に、同情してるんだ」

「は……?」


無論、私は彼を可哀想等と思ったことはない。一度だってなかった筈だ。憐れみもなかった。

切る姿を見ても戸惑っただけだし、行きすぎた感情は高揚したくらいだ。

その、撫で付けられた手首の隠された部分を見ても、同情などはしていない。


「何言ってるんですか?」

「言い方が悪かったね。同情じゃない、似た何か。可哀想だとかは思った筈だけど……“自分が”でしょ?」


そんな風にも思っていない。筈だ。



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