虚愛コレクション


彼はまた少し壁側に身を戻すと、ゆっくりと話し出した。


「何でアンタは俺なんかに固執に近い事をするのか考えてた。本当は、セックスなんかしたくないくせに」

「!」


また体が跳ねた。バレないなんて思ってはいなかった。でも、まだバレてはいないと思っていた。

だって、人はどうやっても快感には逆らえない。その行為に対して偽っていたのは少しの間だけだ。

気まずさを抱えた私とは裏腹に彼は淡々と言った。


「それは別にどうでもいいけど、じゃあ何でそこまでして俺に近づくのか。寂しい以上にアンタは愛されたかったんだ」


断言する。


「で、俺なら愛してくれると本能で、直感で思った」


完結する。


「残念。俺、アンタみたいに寂しくもないし、愛されたくもないから」


……切り落とされた。



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