虚愛コレクション
きっとこんな話をしている光景を見たら彼は馬鹿だと思うだろう。どんな関係かなんてあっさり言ってしまうだろう。
「ずっと気になってたんだけど、あの人を追い掛けた後何してたの?」
けれど、私は彼ではない。正しい答えを正しく導き出さなければならない。
全ては私の為に。
なのにその答えを見つける事が出来ない。
「ちょっと話してただけだよ。……って言うか、何でそんなに気にしてるの?」
終わってほしい。この話をしていたくない。
誤魔化すにも限度が来る。確信を付かれてしまえば身動き出来なくなるだろう。
「んーー。千代がやけに気にしてたからさー。まあいっか」
じゃあ、この話は終わりな。と私の願いを知っていたかのようなタイミングで切り上げる。
まだまだ突っ込まれそうな気がしていただけにほっとしたが、同時に恐怖を覚えた。
神楽君は異常なまでに鋭い。もう、全部気付いているのではないか。と。
聞くことなど出来はしないけれど。