虚愛コレクション
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「これでどう?上手くやれただろ?」
噂は暫く付きまとうにしろ、最優先に守りたいものを守れた私はどうだっていい。
放課後になれば、千代はいつも通り西君と帰ってしまい。私は再び神楽君と対峙していた。
名目上は一緒に帰る、と言う事なのだが。前まであった和やかな空気など何処にもない。ましてや嘘の恋人にも成れもしないので殺伐とした空気だけが流れていた。
「……上手くやれた事には感謝するけど、こんな馬鹿みたいな関係を作る必要なんてなかったと思う」
「あはっ、祈ちゃんってやっぱり根は素直だよなー。感謝する必要もないじゃねぇの」
「……」
変わらない陽気な態度が今は腹立たしく、返答もせずに歩き続ける。
透佳さんと違って、神楽君は私の隣を歩いてくる。それは単に彼との歩幅の違いを示しているだけなのだろう。だって、彼と神楽君じゃどう足掻いても違い過ぎる。
「こんな事しても、代わりになんかなれないよ」
「……」
そう吐き捨ててやれば、キョトッと何のことだと首を傾げる始末。
しかし、暫しの間考えれば思い当たる節があったらしく、あっとわざとらしい反応を示した。
「僕だって簡単に代わりになれるなんて思ってねぇよ。どう足掻いてもあの人には成れないんだし。だから……」
と、何の前触れもなく私の手に触れて、ぎゅぅっと握った。
「今からデートしよ?」